2015年02月25日

海外制作の美しい日本の風景動画

我々が住んでいる日本の光景や風景も海外の人から見たらとても新鮮なものとして映るのでしょう。

以前私がニューヨーカーに「ニューヨークってとっても刺激的な街だよね」って言ったら、

「東京の方もとっても刺激的な街だよ」と言われて、ハッとなったことがあります。


日本に旅行した映像を編集し、非常に美しい動画に編集した作品がありました。


「January in Japan〜1月の日本」




南カリフォルニアを拠点に活動するプロの映像ディレクターScott Goldさんがご夫妻で冬の日本を旅行した際の模様を編集した動画です。


EOS 5D Mark3で撮影された非常に美しい映像です。

築地市場、両国国技館、渋谷のスクランブル交差点、東京スカイツリー、湯田中温泉、伏見稲荷、京都二条城など、日本の観光地での美しい光景が、ハイスピード撮影の効果でさらに夢の中の世界のように編集されています。


こうした映像を見ると、最先端の新しい街並みと、歴史ある伝統の街並み、美しい自然、そしてアジア風な繁華街の夜の景色といった様々な要素が融合し、渾然一体となってある意味摩訶不思議な空間となっている日本の魅力がとてもよくわかります。



普段我々が何気なく目にしている風景も、こうした外国の方の目を通してみると、とっても魅力的に映るんですね。とかく海外旅行がもてはやされる昨今の風潮ですが、日本国内にも私たちがまだ知らない、もしくはまだ気づいていない美しいものがたくさんあることを気づかせてもらえました。



日本の魅力って、この狭い国土にモダンや伝統や、几帳面な美しさや、猥雑な雰囲気が詰まっている奥深さにあるのだと思います。



都市の景観の統一感という意味では、日本はお世辞にも美しくはないかもしれませんが、日本の文化的な懐の深さは海外の他の都市、特に欧米の都市にはなかなかないのではないでしょうか。


この映像の編集や雰囲気が、この前見たあるドキュメンタリー映画に非常に似ていました。

その作品は「二郎は鮨の夢を見る」というドキュメンタリー映画なのですが、そのレビューはまた次回したいと思います。



posted by DY Duke at 13:45| Comment(0) | 映像レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月20日

「ワールドオブライズ」〜レオナルド・ディカプリオ×リドリー・スコット

レオナルド・ディカプリオ主演、リドリースコット監督作品「ワールド・オブ・ライズ」。





この作品は2008年の作品で最新作というわけではないのですが、今回この映画を取り上げたのは、現在の中東情勢と非常にリンクしている部分があるからです。


イスラム系過激派組織ISILによって日本人が人質に取られる事件が発生しましたが、その際に日本警察が現地対策本部を立ち上げたのが、本作品でも登場するヨルダンでした。

さらに、日本人人質事件で現地の情報やISIL内部の情報をヨルダン総合情報部(GID)は掴んでいたようでした。


この組織が本映画で登場し、CIAに情報を提供するのです。




イギリス・マンチェスターのとある住宅街。周囲は警官隊で封鎖され、警察の特殊部隊が建物の周囲に展開。突入を試みるも中にいたテロリストは自爆を図る・・・というショッキングなオープニングで舞台の幕が開きます。



この冒頭の爆弾テロシーンは終始乾いた映像で、ドキュメンタリータッチな雰囲気も感じさせる非常に「リアル」な映像。

リドリー・スコットらしいリアルかつスタイリッシュな映像です。


弟のトニー・スコットの映像と見比べると、その演出の違いがよくわかって面白いですね。


その後欧州を中心に続発する爆弾テロ。CIAはテロを抑止し、テロを主導するイスラム系過激派組織の親玉を確保すべく、イラクで徹底した情報収集にあたります。

現地で情報収集を担当するエージェント役がレオナルド・ディカプリオ。

そして、CIA本部から現場の感情なんて御構い無しに指令を与える上官に扮しているのが、ラッセル・クロウ。


ラッセル・クロウは本作品の役どころを演じるためにかなり体重を増やしたそうです。


CIAの情報収集によって、テロリストの拠点がヨルダン国内にあることがわかり、CIAはヨルダン総合情報部(GID)に協力を要請します。



ヨルダンは周囲をシリアやイスラエル、パレスチナ自治区、イラクなどに囲まれており、基本的にはイスラム教スンニ派が大勢を占めますが、穏健国家であり米国との関係は良好。日本とも要人の交流やODAなどを通して良好な関係を持っています。


その一方で、イラクやシリアなどにも接しているため、こうした国家に対する「前線基地」という性格も持ち合わせています。米国が協力を要請したのはそうした背景があるのですが、この映画ではそうした説明はとうぜん省かれています。


国家安全保障上ヨルダンはそうした厳しい地理にあるために、国の諜報機関であるGIDは相当な実力を持っているそうですね。ちなみに、2009年にはGIDの協力者が実はアルカイダの二重スパイで、その二重スパイによってCIA要員7名が自爆テロに巻き込まれるという惨劇が発生したことでも知られていますが。


話が脱線しましたが、GIDを信用しないCIAは別動作戦を行うも、その作戦がヨルダン側にばれて、レオナルドディカプリオ扮するCIA要員は国外退去を余儀なくされます。


その後、CIAは驚くべき作戦で再びテロリストをおびき寄せる作戦を立案するが・・・というのが本映画のあらすじ。


ちなみに本映画の原題は「Body of Lies」ですが、この作戦を表したものでもあるのですが、邦題が変わってしまったのは残念。


この映画はデビット・イグネイシアスの同名の小説を原作としているため、それを二時間ちょっとに押し込めなければならなかった都合もあるのでしょうが、展開が非常に早いです。個人的には上映時間を2時間30分くらいにして、一つ一つのシーンをもっとじっくり描いて欲しいという思いがありました。


そのため、予備知識なしに一度見ただけでは、ストーリーについていけない部分もあったのですが、今回予備知識を学んで見てみると、プロットが非常によくできていることが分かりました。


特に米国同時多発テロを防げなかったCIAの情報収集能力とその欠陥が、本映画のプロットにも生かされていて非常に興味深く見られます。


映画の公開当時は当然ISILは組織としては誕生しておりませんが、現在の中東の国際関係を知るきっかけとしては非常に良い映画です。


そして、リドリー・スコットの映像センスが光っています。






posted by DY Duke at 00:11| Comment(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月15日

崖の上のポニョに見る宮崎駿の死生観

先日、「崖の上のポニョ」が金曜ロードショーで放映していたので録画。
本日、息子と妻でみました。


これまで「崖の上のポニョ」は見たことがなく、子供向けのファンタジーな楽しい映画というイメージしか持っていませんでした。

映画公開時にテレビでよく流れていた、大橋のぞみちゃんが歌っていた「崖の上のポニョ」のテーマソングも相まって、そうした印象を持っていたということもありました。


しかし、見終わって妻と顔を見合わせました。


「深い!深く、重すぎる生と死のテーマ!!」



東日本大震災以降、この映画は「津波を連想させるシーンがある」ということでテレビでの放映は無期限延期となっていたそうです。

作品を見てみて、その本当の理由がよく分かった気がします。



この作品は、登場人物たちがはっきりと「死の世界」からの視点で物語を語っているのです。


これまでの宮崎作品の中では、生死の描写は数多くありましたが、主人公が完全に死の世界への境界を踏み越えて物語が進行することはなかったように思えます。


しかも、津波の描写も相まって、東日本大震災を経験しその傷が癒えない日本人にとっては、この物語を「物語」としては見られないのではないかと思いました。

この作品が公開されたのは2008年。その当時としてはそこまで現実感はなかったのかもしれませんが、2011年の東日本大震災を経験することで、日本国民誰しもがこの物語に現実感を感じるようになってしまったのです。


ここから先は映画の内容やストーリーにも踏み込みますので、ネタバレが嫌いな方は映画をご覧になってからお読みください。


また、以下の解釈は私独自のものですので、その点はご了承ください。



主人公宗介の両親「リサ」と「耕一」について



劇中に発生する水害(災害)によって、宗介のご両親は亡くなっているのです。これは、明確な描写がありませんが、リサが宗介を一人置いて家を出るシーン。普通に考えれば、あれだけの災害の中母親が5歳の息子を一人置いて家を出るなんてことはあり得ません。

その時にリサは、自分がいなくなった後も周囲の人をしっかりと守って欲しいという母親の思い、そして宗介のことは愛しているという思いを伝えて家を出て行ってしまう。

これは、その後宗介がリサの車だけを発見するも本人がいないことや、車椅子に乗っていた老人ホームのおばあちゃんたちが突然元気になって走り回っている場所にリサがいることからも、死の暗喩なのではないかと思われます。


そしてお父さんの耕一は自分が船長を務める小金井丸の甲板で、不思議な光景を目撃します。町かと思っていた煌びやかな光は、おびただしい数の船が発する光でした。このシーンを見たときにすぐに思い出したのは「紅の豚」のシーン。

戦友のベルリーニが空高く一本延びる飛行機雲に吸い込まれていく。それはよく見ると戦場で散っていった多数の飛行機・・・。


つまり、父耕一は航海中に船ごと津波に巻き込まれ、亡くなっていると考えられるのです。



グランマンマーレが宗介とポニョが残る家の明かりを消すシーン



「今は静かにお休み子供達」といって、グランマンマーレは宗介の家の明かりを切ってしまいます。これは、宗介がリサに言われていた「宗介は家に残ってみんなの明かりになって欲しい」とする役割ができなくなった。つまり、死の世界に旅立つことだと考えられます。


ただ、ここで宗介が本当にあの世に行ったのかどうかは理解が分かれると思います。というのも、ポニョはこの世とあの世を自由に行き来できる存在として描かれているので、ポニョと行動を共にしている宗介はポニョに連れられて「あの世」を垣間見ているだけなのか、本当に死んで「あの世」に旅立っているかは判断がつかないからです。


実際に夜が明けてから、宗介とポニョの旅が始まりますが、後述するようにそこはすでにこの世ではなくなっています。



ポニョと宗介の川を進むシーン


私が予備知識なくこのシーンを見て違和感を覚えたのは、ボートを漕いでいる若い夫婦と赤ちゃんの描写。この夫婦の髪型や服装は明らかに現代のそれとは大きく異なっています。ネットで見てみると「大正風」といった表現をされている方もいらっしゃいますね。


時間軸がめちゃくちゃなのです。つまり、ここは既に「この世」ではないことになります。



ドームの中で、元気になって話しているおばあさんたちとリサのシーン


車椅子に座っていたおばあさんたちが、ものすごく元気になって走り回っている。しかも、水の中でドームに囲まれている。

ここは、明らかにこの世ではありません。

そして、リサはグランマンマーレと話をしていますが、そのときにおばあさんが一言。

「リサさんもつらいだろうに」

このセリフも非常に違和感を覚えました。リサは何に対してつらいのか、何の説明もありません。


これは完全に私の解釈ですが、リサはグランマンマーレから「宗介は人間になったポニョとこの世で過ごすからリサがいるあの世にはやってこない」という説明を受けていたのではないかと思います。



リサが最後にグランマンマーレにありがとうと伝えていたのは、宗介がこの世に戻ってポニョと暮らすことができるようにしてくれた感謝の気持ちからなのでしょう。



ラストシーンはこの世かあの世か



ラストシーンでは、宗介はリサやおばあさんと共におり、空に救難活動をしているヘリや飛行機が縦横無尽に飛び交っている。そして、そこには耕一の小金井丸も現れる。


このシーンは私はこの世だと解釈します。

その根拠として、宗介とリサの背後に大きく映る災害派遣の海上自衛隊のこんごう型イージス艦の存在があります。

ちなみにイージス艦とは、米海軍が開発し海上自衛隊も配備しているハイテク艦で、高性能な防空システムを備え、弾道ミサイル防衛の機能も併せ持っています。

さすが、兵器の描写にはこだわりのある宮崎駿!と思っていましたが、ここであえてイージス艦を登場させたのは兵器描写にこだわりがあるという理由それだけではないような気がします。


イージス艦はある意味現代兵器の象徴であり、過去の遺物ではありません。それが大写しで出てくるということは、ここは現代でありそしてこの世であるという何よりもの証左ではないかと思います。


そしてこの世でポニョは宗介にキスをして人間となる。


そうなると、なぜこのシーンで死んだはずのおばあさんたちやリサや耕一が出てくるのかと疑問に思います。


おそらく、これは彼らが輪廻転生をし魂が再生されていくことを表現しているのではないでしょうか。そう考えると、辻褄があってくるのではないかと思います。



崖の上のポニョ〜それは壮大な宮崎駿の死生観を表現した映画


一回見ただけでは、非常に分かりにくい部分もあるのですが、やはり「崖の上のポニョ」は宮崎駿が、若さと老い、そして生と死、魂の再生という死生観を表現した作品と言えるのではないでしょうか。


ただ、ここまで死の世界に踏み込んだ作品を作るようになったのはそれだけ宮崎駿も老いた証拠なのではないかと思いました(失礼)。ナウシカやラピュタやトトロのようなある意味「生」への強いエネルギーを感じさせる作品とは、大きな違いがあるように思えます。


特に最近父を亡くし、死に対してこれまで以上に考えるようになった私にとっては、タイミング的にはいささか重すぎる作品であったように思えます。









posted by DY Duke at 02:33| Comment(1) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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