2015年02月20日

「ワールドオブライズ」〜レオナルド・ディカプリオ×リドリー・スコット

レオナルド・ディカプリオ主演、リドリースコット監督作品「ワールド・オブ・ライズ」。





この作品は2008年の作品で最新作というわけではないのですが、今回この映画を取り上げたのは、現在の中東情勢と非常にリンクしている部分があるからです。


イスラム系過激派組織ISILによって日本人が人質に取られる事件が発生しましたが、その際に日本警察が現地対策本部を立ち上げたのが、本作品でも登場するヨルダンでした。

さらに、日本人人質事件で現地の情報やISIL内部の情報をヨルダン総合情報部(GID)は掴んでいたようでした。


この組織が本映画で登場し、CIAに情報を提供するのです。




イギリス・マンチェスターのとある住宅街。周囲は警官隊で封鎖され、警察の特殊部隊が建物の周囲に展開。突入を試みるも中にいたテロリストは自爆を図る・・・というショッキングなオープニングで舞台の幕が開きます。



この冒頭の爆弾テロシーンは終始乾いた映像で、ドキュメンタリータッチな雰囲気も感じさせる非常に「リアル」な映像。

リドリー・スコットらしいリアルかつスタイリッシュな映像です。


弟のトニー・スコットの映像と見比べると、その演出の違いがよくわかって面白いですね。


その後欧州を中心に続発する爆弾テロ。CIAはテロを抑止し、テロを主導するイスラム系過激派組織の親玉を確保すべく、イラクで徹底した情報収集にあたります。

現地で情報収集を担当するエージェント役がレオナルド・ディカプリオ。

そして、CIA本部から現場の感情なんて御構い無しに指令を与える上官に扮しているのが、ラッセル・クロウ。


ラッセル・クロウは本作品の役どころを演じるためにかなり体重を増やしたそうです。


CIAの情報収集によって、テロリストの拠点がヨルダン国内にあることがわかり、CIAはヨルダン総合情報部(GID)に協力を要請します。



ヨルダンは周囲をシリアやイスラエル、パレスチナ自治区、イラクなどに囲まれており、基本的にはイスラム教スンニ派が大勢を占めますが、穏健国家であり米国との関係は良好。日本とも要人の交流やODAなどを通して良好な関係を持っています。


その一方で、イラクやシリアなどにも接しているため、こうした国家に対する「前線基地」という性格も持ち合わせています。米国が協力を要請したのはそうした背景があるのですが、この映画ではそうした説明はとうぜん省かれています。


国家安全保障上ヨルダンはそうした厳しい地理にあるために、国の諜報機関であるGIDは相当な実力を持っているそうですね。ちなみに、2009年にはGIDの協力者が実はアルカイダの二重スパイで、その二重スパイによってCIA要員7名が自爆テロに巻き込まれるという惨劇が発生したことでも知られていますが。


話が脱線しましたが、GIDを信用しないCIAは別動作戦を行うも、その作戦がヨルダン側にばれて、レオナルドディカプリオ扮するCIA要員は国外退去を余儀なくされます。


その後、CIAは驚くべき作戦で再びテロリストをおびき寄せる作戦を立案するが・・・というのが本映画のあらすじ。


ちなみに本映画の原題は「Body of Lies」ですが、この作戦を表したものでもあるのですが、邦題が変わってしまったのは残念。


この映画はデビット・イグネイシアスの同名の小説を原作としているため、それを二時間ちょっとに押し込めなければならなかった都合もあるのでしょうが、展開が非常に早いです。個人的には上映時間を2時間30分くらいにして、一つ一つのシーンをもっとじっくり描いて欲しいという思いがありました。


そのため、予備知識なしに一度見ただけでは、ストーリーについていけない部分もあったのですが、今回予備知識を学んで見てみると、プロットが非常によくできていることが分かりました。


特に米国同時多発テロを防げなかったCIAの情報収集能力とその欠陥が、本映画のプロットにも生かされていて非常に興味深く見られます。


映画の公開当時は当然ISILは組織としては誕生しておりませんが、現在の中東の国際関係を知るきっかけとしては非常に良い映画です。


そして、リドリー・スコットの映像センスが光っています。






posted by DY Duke at 00:11| Comment(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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